咄嗟に湧き出る涙を零さぬよう、雲一点もない夜空を見上げ、私たちは歯切れの悪い言葉を紡ぐ。
周囲はやけに静かだ。
言葉を恐れるのに、言葉を希求する。
カイロが心臓の背後をじわりと温める。
私は底知れぬ何かを抱えながら、長い坂を登る。
温もりのある涙を、数年ぶりに流したのだ。
その言葉を何度も反芻する。
同じ領土に生きる私たちは、言語化することを赦さない。それは終結を意味する。
驚くほどに丁寧で諄い写生に、私はまた涙する。
這いつくばる夜に、その日の空を見上げるだろう。
線路の網に何度も頭を殴打する。
久しぶりに開封した煙草には、なぜか葉が詰まっていない。
私はそれを地面に叩きつけ、火もついていない吸い殻がアスファルトの上で無様に跳ねる。
跡形もなく握り潰されたアルミの歪みが街灯を反射し、私を慈しむように視線を寄せる。
私は柔らかな微笑みを浮かべ、網の隙間から青信号を見つめる。