流し込んだ刹那、快楽と絶望が冷酷に襲来する。
視界は鈍い色彩を帯び、生温い涙と混濁した液体が交錯し、果てしない情動の波が脈打つ。
回顧を試みるたび、記憶は靄のように掴みどころなく揺らぎ、ただの一滴に満たされた空虚がすべての輪郭を拭い去る。
それでもなお、次なる一滴を希求する衝動が抗いようもなく湧き上がる。
神経は痺れとともに全身を奔り、意識は半ば強制的にキャンセルされる。
私は長いトンネルの中に静止し、低音が鈍く反響しながら鼓膜を蝕む。その音さえも、遥か向こうで滲んでいるかのようだ。
目を開けば、朧げな光の筋が遠く、触れ得ぬ場所が浮かんで見える。振り返った背後には、かつて通ったはずの扉の痕跡すら残っておらず、過去の断片は音もなく崩壊し、どこにも記録されていない。
時間を葬り続ける作業のなかで、掌にのせたすべての刹那が零れ落ち、白々とした虚空に吸い込まれる。
前へ進めども、後ろには何も存在しない。その果てしない空白が鼓動を締めつけ、その痛覚すらも曖昧にする。
追体験の時の流れは、やがて記憶のなかに融解し、再び私を呑み込み沈めていく。
一杯の中に沈殿した数多の追憶。そのわずかな隙間に、私は幾度となく迷い込み、還ってゆくのだ──