午前五時。
海と風と、鳥の羽ばたきが奏でる摩擦音。
今この世界のすべては、僕のものだ。
バイクを走らせるたび、轟音はそれらを掻き消し、静寂を裂いてゆく。
潮汐はまるで僕の涙のようで、鼓動に触れながら「このままでいい」と静かに囁く。
柔らかく、そして残酷な、血液を帯びた日の出が瞼の奥を焼き尽くす。
天へと昇るその光に、僕はただ目線を捧げ続ける。
逃げないように──
やがて淡くも強烈な宝石が、雲間から溢れ落ちる。
この光景に、何度まばたきを忘れたことだろう。
砂にまみれた靴を見つめ、優しい風の囁きに身を委ねて僕はまた走り出す。
タイヤと地面が織りなす、静かな摩擦音とともに─