どうやら私は、
これからどこかの臓器を間引かれるらしい。
局部麻酔に安堵と焦燥を覚える。
意識だけが、この肉塊に縫い付けられている。
無表情な執刀医たちは、私の皮膚を愛撫のようになぞり、沈黙を交わしながら深々とメスを沈める。
「やめてくれ」
叫びは咽喉の奥で黒く凝固し、肺胞の一つひとつを塞いでいく。
眼球で訴えるが、千切れる毛細血管の悲鳴が鼓膜を叩くだけだ。
「ふっ、酷い色だ。見たこともない、黄土色の醜悪だ。」
「これは切除できませんね。」
言葉は、私を通り過ぎてゆく。
大量に追加される麻酔液を横目に、私は徐ろに、唯一感覚の残っている左手を伸ばす。
そのまま鼓膜に麻酔針を突き刺すと、私は不気味な笑みを浮かべる。
「あぁ、うれしい」
私は耳を喪失した。